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三島由紀夫 · 金閣寺 · 1956

きんかくじ

みしまゆきお / Kinkakuji

N1第一章· 小说

原文

1

幼時から父は、私によく、金閣のことを語った。わが生れた土地は、若狭の東舞鶴から北へ二里、日本海に近い寒村で、子供の頃から私は、村の海岸へ出て、たえず寂しい日本海の海鳴りをきいていた。

2

金閣ほど美しいものは地上に存在しないと、私は思うようになっていた。後に実物を見て、私の幻想は壊れるのではなかろうかと心配した。