芥川龍之介 · 蜘蛛の糸 · 1918
あくたがわりゅうのすけ / Kumo no Ito
ある日の事でございます。御釈迦様は極楽の蓮池のふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。
池の中に咲いている蓮の花は、みんな玉のように真白で、そのまん中にある金色の蕊からは、何とも言えない好い匂いが、絶間なく溢れて居ります。