川端康成 · 雪国 · 1937
かわばたやすなり / Yukiguni
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。
信号所に汽車が止まった。向側の座席から娘が立って来て、島村の前のガラス窓を落とした。雪の冷気が流れ込んだ。
娘は窓いっぱいに乗り出して、遠くへ叫ぶように、「駅長さあん、駅長さあん」と呼んだ。